statement

 西洋の古典絵画や児童文学、日本のポピュラーカルチャー(漫画やアニメ、ゲーム)などのアイコンを利用しながら、観る人の記憶に働きかける絵画を制作しています。
 私の作品には具体的な物語は設定されていません。作品を観た人がその内容を読み解き、その人独自の物語を想像することが、制作の目的の一つとなっています。

 これまで、私は子どもの図像を多く描いてきました。彼らは、何か「特別」な役を演じているようにも見えます。
 子どものころ、根拠なく持っていた万能感。それはいつの間にか消え去り、多くの人が現実的な大人となっていきます。私は時折、なくしてしまった子ども時代を思い出します。それは、少し寂しさを含んだような、しかし、どこか心地の良い感覚とともに蘇っていきます。
 大人となってしまった今でも、子どもの頃持っていた「特別でありたい」という願いを、誰しも持つことがあるのではないでしょうか。価値観が多様化し、何者にもなれない自分を誰からも承認されないために、生き辛さを感じている現代人は少なくないでしょう。また、逆に、自分自身の持つ「特別」を自信にして、生きている人もいるかもしれません。「特別」は、人の生における活力剤になります。しかし、自分を「特別」だと自己承認することは難題なことです。なぜなら、現代で「特別」になることは、非常に骨が折れることだからです。
 私が描く子どもたちは、子どもの姿をしていますが、大人となった私たち自身の姿も内包しています。彼らは、大人がなくしてしまった、特別だったころの子どもの時代、そして、「特別」を願う現代人の姿をイメージ化したものとも言えるでしょう。